【ノーワーク・ノーペイ】ミスしたら賃金カットは妥当なのですか?
Jonathan SautterによるPixabayからの画像
ノーワーク・ノーペイ、言うなれば、働かざる者食うべからず。しかし気になるのは「働かない」と「働いていない」の区別は可能なのでしょうか。災害や事故なら判別はできそうだが、ミスはどうなのでしょうか。
対象記事:JR西日本の訴訟から考える「ノーワーク・ノーペイ」
記事背景
ノーワーク・ノーペイの原則
参考:労働基準法、第24条(賃金の支払い)
ノーワーク・ノーペイの原則は、上記の24条にもとづき、働いていない部分については賃金は支払いません、これが賃金支払いの基本原則なのだと。確かに、働いていないのだから、そうなりますよな。
では、台風や地震などの自然災害は? 公共機関(電車など)が遅れての遅刻は? 突然の持病や発作で倒れた場合? なども「働いていない」と言えばそうなのだが、実際のところどうなのでしょうか。
参考:第24条(賃金の支払い)について Q&A
上記によれば、「労働基準法には、天災事変などの理由による賃金支払義務の減免に関する規定はありません」と書かれております。つまりは、これら場合でも会社側には賃金の支払い義務は「生じません」と読み取れます。とすると、あとは、有給扱いにするかどうかなどの対応は、会社側に委ねられるってことですね。なるほど。
ミスは働いたとは言えないのか?
参考:打刻忘れで減給は可能か?
打刻忘れが多い従業員に対する減給などの処分は可能ですか?打刻忘れ、漏れ防止の対策も知りたいです。 - なんでもQ&A|タヨロウ|バックオフィスを支援する「頼れる労務ONLINE」
上記によれば、「タイムカードの押し忘れで、減給や罰金など制裁にあたる処分は『原則』できない」。うーむ、原則ってなんだよ。。さらに読むと、「減給処分は就業規則の『服務規律違反』の項目に減給の条件をあらかじめ定め周知している」必要があります、と。
つまりは、「ミス」した場合は、労働基準法に定めはないが、会社側になんらかの規定があるのであれば、罰則はあり得る、ということになります、ね。
でもでも、遅刻や欠勤と違って、「ミス」の定義をすべて、就業規則に書けるものなのでしょうか。いくらのJRさんでも、記事のような「勘違いをした」というような内容まではさすがに書けないのでは? と感じますが。 ルールや規則の類は読めば読むほど頭が混乱してきますな。とりあえず難しい話は横に置いといて。。
さて、世の皆さんはこの話をどのように感じられたのでしょうか、私はこちらの方が気になりました。今回はこれについて調べてみようと思います。
賛成派:妥当だと思います 約20%
ミスでも不労働だ
「ミスは不労働とは違う、と言う人はいますが、結果的に生産性はゼロなのだから、私は同じことだと思っています。まあ毎回罰するのは確かにどうかとも思いますが、罰は必要でしょう。特にJRだからね、時間に厳しいなのはしょうがないんじゃないかな」
「こういう話になると、よくタバコ休憩やトイレ時間はいいのかい? と取りざたされるが、ちょっと違うような気がします。トイレは生理現象だし、休憩はミスを出さないようにするためのもの。でも、ミスはミス、何らかの形で誰かが責任を取る必要はあるかと思います」
悪い芽は早めに摘むべし
「1企業の理論に口を出すつもりはありませんが、ミスは全員でカバーするという考えは古いし限界があります。ミスを金銭で換算して初めて『誰』がはっきりしてくるのだと思いますし、だから『自負』や『責任感』が生まれてくる、なのではないでしょうか」
「こうしてニュースになるぐらいだ、もしかしたら、この従業員は日頃から時間にルーズなのでは? 企業側の判断として、このままでは二次災害や重大事故ににつながると感じたから、罰金を選んだのだと思いますよ」
それからこんなご意見がありました
見せしめ
「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの。まさにジャイアン理論なんですよね、今の会社ってさ。でも、1分なんでしょう? 56円カットなんでしょう? 地雷を踏んだと思って諦めな。罰金が目的なのではなく、見せしめだと思うな」
参考:ジャイアニズム
反対派:やりすぎです 約80%
人はミスをする生き物だ
「ミスはしたくてしているわけじゃありませんよ。会社でヒヤリハット活動をしているのは悪かないが、まあむしろすべきだと思いますよ。でもね、人はそれでもミスをしてしまうんだよね、そういう生き物なんだよ。だから、1人の人に対して罰金を科すのってちょっとおかしい。組織でミスを防ごうという気がないんなら、話は別だがな」
「考え方が逆ですわ。人はミスをするって言います、確かにそや。わしな、管理者やってきたねんけど、むしろな、このミスのおかげで、新しいことが出来ると思うんよ。わし、ミスして内部資料をお客さんに出したことあるねんけど、これが受けてな、えらいビジネスに繋がったもんですわ。ミスは罰したらあかん、宝くじ1枚買ったと思ったらええがな」
罰金ではなく仕組みを考えるべきだ
「会社側がミスが起こらないような仕組みを作ればいいだけ、罰金に頼るのは管理者としてあるまじき行為だ。というか、ミスも考慮して業務のカリキュラムを考えるべきだろう。ミスを個人のせいにするんなら、会社ってなんのためにあるのかね」
利益は会社がいただく、損益は与えた人が払う、っておかしいだろう
「飛躍しちゃいますが、運転手さんがミスって脱線事故を起こしちゃったら、賠償は全て運転手さんがするって考え方なんですよね。じゃー、ミスがなかったら、そこで得られた利益は運転手さんのもの、と考えてもいいんですかー?」
「本来やるべきことをやらずにサボっていたなら、賃金カットは文句は言えない。けど、記事を読む限り、業務上起こりうるミスなんなら、これで賃金カットは横暴だろう。管理者が指示ミスしたら、賃金カットしてますかね」
それからこんなご意見がありました
査定に反映すればいいだけ
「この記事、タイトルがおかしい。まあそれはいいとして。簡単な話、昇給時に減額すればいいんじゃないの? いちいち罰金だとか給与計算もめんどいっしょ。成果があれば賃を上げる、成果がなければ下げる、そのための給与システムなんだからさ。さらにその上に罰金を設けるのはおかしいよ」
調査結果・感想
「ミス」はみんなで対処を考えた方がいいよ
「ミスしたら賃金カットは妥当なのですか?」について調べたところ、反対派(やりすぎだ)とのご意見が多かったようでした(約8割)。
反対派は、基本的には「人はミスをする生き物」なのだから、会社や組織に期待するのは、ミスをひとりに背負わせるのではなく、全員でカバーを、とのご意見が多かったようでした。
一方、賛成派は、ミスはミスだ、所在を明確にし、罰が必要であれば与えるべき、とのご意見が見られました。まあ確かに。明白な他人のミスを、もし私が代替えさせられたとしたら、複雑な気持ちになりますね。
私は、2:8で反対派(やりすぎだ)ですかね
私は、この記事と皆さんのご意見を伺ってみて、小さい頃に学校からもらった「通知表」を思い出しました。国語が4、数学が5、家庭が2、などなど。家に帰ってから親たちが一喜一憂するところ見て、ハラハラしたものだ。成績が良かった時は、お小遣いがもらえたことが嬉しかったし、悪かった時は、手伝いをさせられたな。
会社は、なんでそうしないんだろうかね。少し考えたところ、会社には正社員だけではなく、協力社員やパート・アルバイトなどもおられますから、通知表システムの導入には多大な労力とお金が必要なんだろうな。
「人はミスをする生き物」、これは本当にそうだなと思いました。私もこれまでたくさんのミスを犯してきましたし、ミスをした後は、相談したり悩んだり、次こそはやらないぞとか、しばらくは居心地が悪かったな。
「賞」はみんなのもの、「罰」はひとりのもの、なのか?
私は思うに、会社や組織ごとに「ミス」に対して、教育や報酬の考え方は違うかと思います。記事では、JRさんは「ミス」に対して、「賞」ではなく「罰」の方を選んだのだと思います。
JRさんだけではない。今の世、この日本を見ていると、様々なところで「罰」を選んでしまっているのではないかと感じています。「罰」を選ぶのは簡単だ、事が起きたのなら、どこかに原因があるはず、それを突き止めて排除すればいいだけだ。
では、なぜにミスを防いだ時やミスを犯さなかった時に、「賞」を選べられないのでしょうか。私は、「賞」はみんなで分け与えるものだ、とする、日本的なビジネス感が、根底にあるのではと感じています。
日本は、小さなことでも大きなことでも、とにかくみんなで成し遂げたものだと、そう思いたくなる傾向にあるように感じます。ゆえに1人で起こすミスなんてのは、ないのが当たり前だ、と思っているのではないでしょうか。同じ「事」でも、新しい事がなかなか生まれないのは、こういう国民性なのだからかもしれないね。
逆に、日本はもう少しね、外国のように「その成功は私のおかげだ!」と、強くアピールしていけばいいとも思うのだが、これがなかなかできないんだよね。サガなのでしょうかね。 だから私は、「罰」を与えるのには反対ですね。
みなさんはどう思いましたか?
参考記事:日本人はいじわる?
日本人はいじわると言われないように、もっと「賞」を与えていきましょうよ。