【愛読書は?】採用面接で聞くな! だけど聞きたいな、聞いてもいいですか?
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採用選考の面接にて、たとえ履歴書に「趣味は読書」と書かれていても、「愛読書は?」を質問するはいけないらしい。なんでも思想信条にふれるとのこと。そうなんですかね。その人となりを知るためにも、質問した方がいいかと思いますが、皆さんはどうでしょうか。
対象記事:愛読書は? 不毛な質問?
記事背景
就職差別を防ぎたい
記事より「県教委は『就職差別を防ぎたい』として、高校生が採用活動で受けた質問を学校側が聞き取り、不適切な質問を毎年調べている」という。さて、不適切な質問とはなんでしょうか。
参考:(3)採用選考時に配慮すべき事項
公正な採用選考の基本|厚生労働省
厚生労働省のページでは、「『思想信条』に関することを不適切な質問として例示しており、尋ねないように呼びかけている」とのこと。たとえば、家族構成、支持政党、宗教を質問するはNGとされています。
質問するのは違法か?
参考:思想・信条による不採用は認められるか?
思想・信条による不採用は認められるか? |労働問題.COM
上記より「法的には、契約自由の原則から、思想・信条を理由に採用を拒んだとしても、違法となるものではありません」。また、「思想・信条の調査をすること、質問をすることも可能です」と書かれています。
つまり、「愛読書は?」と質問すること自体は違法ではないのです。なるほど。ただ「思想・信条は本来自由であるべき事柄であり、企業は十分に慎重に対応することが必要」とも書かれています。要はいい感じに配慮をしてください、ということですね。
じゃ、質問してもいいのですか?
違法ではないのだから、面接時はそのように聞く分には問題はない。では、実際のところどうなのでしょうか、気になりますよね。私は気になりました。
ただ、私には企業に突撃して取材する力はありませんので、代わりに、世の皆さんのおコメントより各ご意見を伺って見たいかと思います。では以下に。
賛成派:聞いてもよい 約80%
人間性を評価するために
「趣味に読書と書いてあるから聞くのだ。それが当然の面接だ。聞くなというなら、履歴書から趣味や特技の欄を廃止すれば良い。採用差別する気などまったくない。ただ人間性を評価している。そのためには、趣味も愛読書も聞くのだ」
「読解力、語彙力を、判断する材料として質問しています。漫画でもゲーム雑誌でも、自分なりの感想を理論立てて説明できれば、問題ないと判断しています。読んでいる本の内容で採用が左右されることはありません」
「日本は能力主義でなく、どれだけ周りと馴染んで余計な事しない奴かを見るだけ。また能力で人を判断するのでなく空気読めるかどうかだけ。つまり協調性だよ協調性。こういう質問をして、無難な回答ができるかを見ています。まぁだから日本は伸びないかもしれないが…」
緊張をほぐすため
「面接する側からすると、なんの本を読んでいるとかぶっちゃけどうでも良いんですよね。じゃあなんで愛読者を聞いちゃうかというと、話題を広げる為です。新卒なら尚更で、緊張されて会話が成立しにくいしね。そんな奴落としてしまえという企業もおられますが、うちは答えがどうだからって合否には影響させていません。本の1冊や2冊、よ、読んでいますよね。さあ、肩の力を抜いて」
採用後の解雇は難しい
「企業側もあらゆる周辺情報を集めて、人となりを見極めるのに必死なのよ。一度採用したら解雇はほぼ不可能なんだから、面白そうな人材いても冒険はできない。無難で組織を壊さない人材にニーズが偏るのは仕方ない」
「人間失格と答えたら、どうなりますかな。有名な著書だよね、採用してくれるかな」
それからこんな意見がありました
学校から答えなくてもよいと
「『学校から答えなくてもよいと言われてます』 宗教は? と聞いてしまったならそう答えても致し方ないが。愛読書は? と聞いてもそう答えられると採用側としては辛いですな。せめて『本はあまり読みません』とかを答えてくれると、印象は良いかと思います」
反対派:聞いてはいけません 約20%
思想信条に触れるのはダメ
「趣味は読書と愛読書とでは、意味は異なるものです。読書:書を読むは字の通りの意味ですが、愛読書は『特定』の書を好んで読むという意味があります。従って愛読書を質問するのは、支持政党や信仰・宗教を特定しやすくなり、思想信条に触れてしまう可能性があります。面接官は注意された方がよいでしょう」
「例えばの話『共産党宣言と資本論』と答えたら、企業側は困りませんか? それで不採用でもしようもんなら、それこそ思想がらみで落とされたと思われてしまいます。それ以外には? これ以外にありません、となれば、踏み絵を踏まされるのは誰でしょうか」
質問の内容を変えてくれ
「学生です。最近読んだ本で面白かった内容は? と聞いてほしいです。たしかに趣味は読書ですが1冊を何度も読んだりはしませんし、過去に読んだ本の名前なんて覚えていません。読んだ内容なら覚えていますから、そう聞かれれば困りません」
選考基準を定義しろ
「企業側に明確な選考基準ってありますかね。明るく、ハキハキ、素直に応じる人は好印象とか言わないですよね。素直にと言ってもバカ正直に答えると、常識がないって受け取りますよね。どういった人材が欲しいかその定義がないから、あら探しだけの質問をしてしまうんじゃないですか?」
それからこんな意見がありました
面接そのもの不要だ
「面接って意味あるんですかね。志望動機は極論にいえばお金ほしいからで、短所長所なんてほとんど仕事関係ないし、趣味や特技も仕事に結び付けないと変な目で見られるし、しょせん嘘のつきあい。なんなん? いかに真剣なフリができるかの儀式なん?」
調査結果・感想
聞くべし
「愛読書は? と聞いてもいいのですか?」について、世の皆様のご意見を調査したところ、「聞いてもいい」という賛成派は約8割と、こちらが多数派のようでした。やっぱみんな聞いているじゃん、なーんだ。あ、失礼。やはり皆様も尋ねていらっしゃるのですね、なるほど。
賛成派の多くは、思想信条を聞いてるのではなく、人間性について聞いているのだと。確かにね。もしも面接で応募者から何でそう聞くの? と聞かれたら、私も「あなたの人となりを見させていただきたいから」と答えてしまうかもしれない。
反対派は言わずもがな、思想信条に触れるからダメ、ですわよね。ただ、もう少し反対意見は多いものかと思っていましたが、約2割と、意外に少ないなとちょっと驚きました。それから「面接は不要だ」とのご意見があって、兵隊さんが欲しい企業はもしかしたらそうなのかもしれないね、と思いました。
みなさんはどう思いましたか?
さて、私は、9:1で賛成派(聞いてもいい)ですね
違法ではないのだから、ずばり、面接で「愛読書はなんですか?」と尋ねてもいいのではないでしょうか。私は皆様のご意見を伺って、この結論にたどり着きました。
そもそも就職とはなんでしょうか、何のために行うのでしょうか。私は、就職とは「よそ様のお家に嫁入りする」ようなものかと感じています。あくまで喩えですよ、それぐらいインパクトがあるものだと言いたいのです。
単身でね、よそ様のお家の子になるの、一緒に寝泊まりして一緒に生活をするの。そう。朝起きて歯を磨いて、ご飯を食べて、お掃除をして、そしてお買い物をするの。よそ様のお家には、お父さんもお母さんもいらっしゃって、お兄さんも妹さんもいらっしゃるの。
一緒に生活をするわけですから、例えば、そのお家ではご飯を食べるときはテレビを見ない、というルールがあった場合、自然に考えれば嫁入りした私も従った方が無難ですよね。でもそこで、いや、私はご飯を食べるときはテレビを見させてください、と申し出たとしましょう。
結果、お兄さんはスマホを持ち込んでくるわ、お母さんもテレビぐらいいいじゃない、なんて言い出した日にゃ、ルールを作ったお父さんはきっと困ることでしょう。「ご飯を食べるときはテレビを見ない」から、いつの間にか「ご飯はテレビを見ながら食べるものだ」にルールが変わってしまうわけですからね。
「テレビを見る」というのはある意味「人生観」にあたります。テレビを見る目的や価値の有無はもちろん個人の自由です。問題なのは、その人生観をよそ様のお家に持ち込むことなのです。この例のように、持ち込んだ結果、よそ様のお家のルールを変えてしまった。これには一考が必要なのではないでしょうか。
思想信条を持つことは自由です、何ら阻害されるものではありません。しかし、就職において、会社内に思想信条を持ち込むのは、如何なものかと私は思います。たとえ悪意がなくとも、場合によっては破壊に繋がりかねないからね。
だから、私は、採用選考の面接で「愛読書は?」と質問するのは、しょうがないかなと思います。「あなたはルールを変えてしまうほどの人材かどうか」それを知るためにね。
参考記事:面接の質問で面白い話を聞かれる?
あなたにキャッチコピーをつけてください。私は「歩く鉛(鈍感)」です。